読書感想

・吉田恭教「変若水
 このタイトル”をちみづ”と読むんですわ。
 ヨミガナが出てくるまで”へんじゃくすい”って読んでたやないけ。
 幼馴染の女医の死をキッカケに、田舎の忌まわしい一族と風習に巻き込まれていく。
 その風習は毎年3月3日に行われ、一族しか見てはならないという。
 3月3日という事から一族による秘密の雛祭りと、村人も読み手も思うのだが違うのだ。
 ネタバレすると一族の祖とされる夫婦が死んだ日。雛祭りとは全く関係ナシ。
 この風習、もっと忌まわしい内容かと思ってたわ。私は食人がされていると推測していた。
 なぜなら一族の中からクールー病患者が出るからだ。
 クールー病とは実際にパプアニューギニアで出た病気で、若年性アルツハイマーに似た症状。
 発症してから短期間で死に、原因は食人習慣にあるとされている恐ろしい病気。
 では風習とは何をするのか?だが、一族の長が朝鮮朝顔を食べて踊り、
 トランス状態で神の言葉を伝えるってやつだった。
 とにかく鬼のような一族で、ぶ厚い本だけどスルッと読めた。
 著者は漁師さんやねんて。漁師をしながら、こんな小説を書くんやね。すごいね。